無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか? 100億円の価値を生み出す凄いコンセプトのつくり方

無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか? 100億円の価値を生み出す凄いコンセプトのつくり方 の詳細

本のタイトルに興味を持ったので、さっそく、東京出張の新幹線の中で目を通しました。タイトルを見る限り、無印良品さんのコンセプト作りが紹介されているのかと思いきや、プロローグのところで「無印はコンセプトがすごい」と書かれているだけで、本論では無印の話がでてこないで、著者のコンセプト論が中心です。それはそれで、おもしろいのですが、著者のコンセプト論と無印さん自体のコンセプト論とが類似しているのかどうか、良くわかりません。無印さんの「すごさ」は、同社の松井忠三会長が書かれた「無印良品は仕組みが９割」のご意見のほうにもあるように思われます。したがって、仕組みが先か、コンセプトが先か、という２者択一的な議論ではなく、両方を上手く使いこなしていく経営マインドのほうが大切だと思うのですが。でも、日本の企業の多くは、コンセプトといえば、広告表現や新商品開発のテーマといったデザイナーレベルの戦術的なテーマ開発としか見られていない場合が多いですが、経営トップの視点で企業ブランディングの骨子としてのコンセプト開発は確かに不十分です。経営者自身の企業理念やコーポレート・ブランディングと深くかかわってくる「コンセプト・メイキング」にもっと時間とお金をかけてほしいですね。その面では、江上さんのコンセプト論は注目に値すと思いますが。