肉体の門・肉体の悪魔
によって 田村 泰次郎
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肉体の門・肉体の悪魔 の詳細
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「肉体の門…」は戦後発表するやいなやベストセラーになったそうです。この１冊には作者田村泰次郎の代表作が収められていますが、私としては、表紙になっている、かたせ梨乃や名取裕子の出た映画のほうが先に浮かびますね。本書は日本兵と中国共産党の女捕虜との恋がテーマです。今なら「禁断の恋」ものとして映画やドラマで良くお目にかかるような設定でしょうが、戦後間もない頃としてはとても新鮮だったようです（解説より）。「肉体の門」のほうは、戦後の焼け跡のなか、仲間と身体を売ってたくましく生きる「せん」という少女が主人公。そこに兵隊帰りの野性的な「イケメン」が表れ、女たちの間に微妙な齟齬が生まれるという話です。派手な銃撃やとっくみあいのあった映画と比べると、原作は非常に簡潔です。というよりも、彼女たちの描写が説明的で精彩がありません。終わり方も中途半端で消化不良の感も残ります。戦前の近代文学では谷崎でも永井でも、女は描いても女の「肉体」は確かに描かなかったでしょうから、戦争直後とあれば、「肉体の…」の２作は開放的で、その登場のしかたもまぶしく映ったのでしょうね。
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